呼吸器疾患

呼吸器系疾患

獣医学領域における呼吸器は解剖学的に大きく分けると

  1. 上気道:外鼻孔(鼻の穴)から喉頭(のど)…人医では耳鼻咽喉科
  2. 中枢気道;気管から区域気管支
  3. 末梢気道から肺実質

このように解剖学的な分類をすると、その症例がどのような症状がみられるかにより、問診や身体検査所見をもとにどの解剖学的な部位に異常がみられるのかが、予測をたてることが出来ます。
たとえば、

  1. 上気道疾患でみられる症状
    a.いびき
    b.異常呼吸音 スターター(スース―音) ストライダー(ガーガー音)
    c.咳は必ずしも必発しません
  2. 中枢気道で主にみられる症状
    a.咳
  3. 末梢気道および肺実質でみられる症状
    a.慢性発咳
    b.呼吸困難

などが挙げられます。逆に、
A.異常呼吸音やいびきがみられる症例…鼻腔、鼻咽頭、口咽頭、喉頭の異常
B.咳が主にみられる症例…喉頭、気管から気管支、肺胞の異常
というように主な症状から異常部位を推測していくことが出来ます。

上気道疾患

鼻炎

リンパ球プラズマ細胞性鼻炎

中年齢以上のミニチュア・ダックスフンドに好発する、慢性の非感染性鼻炎。
鼻粘膜にはリンパ球と形質細胞の顕著な浸潤が認められます。
明らかな原因は不明だが、免疫介在性の可能性が示唆されます。
通常、元気・食欲などの一般状態は良好だが、数か月にわたる鼻炎症状がみられます。

鼻咽頭ポリープ

若齢の猫での発症が多く、耳管もしくは鼓室胞から発生し、緩徐に増大する良性腫瘤で、鼻咽頭へ進展した場合、慢性進行性鼻閉塞がみられます。
外耳道に進展した場合、慢性外耳炎、内耳・中耳に進展すると前庭症状、ホルネル症候群などの神経症状がみられることがあります。

鼻咽頭狭窄

犬よりも猫でみられ、炎症などの原因がさまざまであるが、後天性鼻咽頭狭窄では、瘢痕性の膜性鼻咽頭狭窄が多いです。
最も一般的な症状は異常呼吸音(スターター=スース―音)鼻汁やいびきなどがみられます。

短頭種気道症候群

短頭種における複合的な呼吸器疾患の総称で、進行性の慢性閉塞性上気道疾患。
好発犬種はブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズーなどのいわゆる短頭種であるが、チワワ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどでもしばしばみられます。
進行に伴い、睡眠時無呼吸やいびきがみられます。
重症化すると上気道閉塞による陰圧性肺水腫が認められることがあります。
短頭種気道症候群の病態としては外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、喉頭虚脱(喉頭小嚢外反)、気管低形成などの症状がみられる。慢性的な上気道閉塞による気道内圧の低下により二次的な気管虚脱がみられることがあります。
吸気努力やストライダー(ガーガー音)がみみられ、呼吸困難によるチアノーゼ、失神がみられることがあります。

中枢気道疾患

気管虚脱

気管虚脱は中高齢以上の小型犬に多く発症し、かなり強い発咳を特徴とします。咳の音は、よくアヒルやガチョウの鳴き声「ガーガー」という音がするというように表現されます。原因としては気管を形作る軟骨が弱まって柔らかくなり、呼吸するたびに気管がつぶれてしまうため、咳を引き起こします。
また気管は呼吸した空気の通り道ですので、つぶれてしまうと空気が吸えなくなり呼吸困難を引き起こします。

伝染性喉頭気管炎

気管気管支軟化症

末梢気道疾患 閉塞性肺疾患:COPD(慢性気管支炎 気管支軟化症 肺気腫)
間質性肺疾患:特発性肺線維症 間質性肺炎
肺水腫:心原性肺水腫 ARDS?ALI
肺塞栓症:肺血栓塞栓症
気管支肺炎:細菌性気管支肺炎
誤嚥性肺炎
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